松山地方裁判所 昭和26年(タ)3号 判決
原告 川島義男
被告 川島美子(いずれも仮名)
一、主 文
本件訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
二、事 実
原告は、原告と被告とは離婚す、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求原因として、被告は原告の配偶者であるが、婚姻後、被告は別表<省略>記載の如く、野上次郎外多数の者と姦通をなし姦通事実は四十八件に及ぶのであつてこれは不貞の行為というべく夫である原告としては黙視することが出来ない事実であり、又被告は原告に秘密で財産を隠匿して居るから不都合というべく、これらの事実は民法第七百七十条第一項第一号第四号第五号にあたるから離婚を求めるため、本訴に及んだと述べた。<立証省略>
被告は主文第一項同旨の判決を求め、答弁として原告の請求原因事実のうち、被告が原告の配偶者であることは認めるが、その余の事実はすべて否認すると述べた。<立証省略>
三、理 由
証人中野健、及原、被告本人の各供述と弁論の全趣旨を綜合すれば少くとも本件訴提起当時乃至は現在に於いて原告は所謂持続性嫉妬、忘想型精神分裂症に罹つているものであつて、本件訴の提起も該精神状態に基く行為であることを認めることが出来る、従つて原告の本件訴の提起は意思無能力の状態に基くものと謂うの外はないから本件訴は結局この点に於いて不適法であるから爾余の判断をまつまでもなく之を却下すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十五条を適用して主文のように判決する。
(裁判官 加藤謙二 橘盛行 荻田健治郎)